連載コラム「リビングに絵画を」

弊社スタッフが、「アイリスタ」に連載中のコラム「リビングに絵画を」をお届けします。版画を初歩からわかりやすく解説しています。ご参考にどうぞ。

■第六回:版画を買うためには・・・

さて、版画に関する説明がひととおり終わったところで、いよいよ実際に版画を購入する際の留意点にうつりましょう。

みなさんのご自宅の、たとえばリビングのソファの上に何か絵が一点ほしい、と思われたとき、さてどこに買いに行きますか?たいていの高額商品はデパートに売っておりますので、まずデパート、という案が浮かぶのではないでしょうか。たしかに、デパートの画廊、あるいは催事場などで行われる版画展などで購入されるのがまずは一番一般的であると思います。
都市部のデパートや大型商業施設には、版画を販売している場所が、たいてい一ヶ所くらいはあります。老舗デパートなどには古くから美術部があり、専門の販売員がいて絵画の知識も豊富です。ご自宅のインテリアの様子や趣味などを伝えると、いろいろアドバイスに乗ってくれる場合も多いでしょう。

ただし、昨今の経済低迷の影響か、デパートの中には美術部門を廃止したり、画廊をクローズしたりするところも少なくはありません。また、画廊の場合には通常は1週間ずつ違ったアイテムの展示会が開かれますから、たとえばフランス版画がほしいと思っても、実際に足を運んでみたら陶芸や日本画の展示会をやっていた、ということもあるでしょう。そういう場合には、ちょっと冒険して町の画廊を探訪してみてはどうでしょうか。繁華街のちょっとはずれに、画廊主がひとりで経営しているような画廊もありますし、それこそ銀座や青山をぶらつけば、何百件という画廊があらゆる種類の絵画を扱っています。

版画にかぎらず、なにか美術作品を購入しようとする場合も、洋服やバッグや靴を買おうとする場合と大差はありません。もし、自分の中になにもイメージがなければ、予算だけ伝えてお店の人のアドバイスに従えばいいですし、自分の中に確固としたイメージがあるのでしたら、やっぱりいくつかの画廊をまわって、納得のゆくまで探されたほうがいいでしょう。
いろいろな画廊をのぞき、気に入った店主がいたらちょっとお話ししてみて何回か通うと、親身になってさまざまなアドバイスもしてくれるでしょう。気に入った作品を適正価格で買うためには、まずは作品をよく見て歩くこと、それから行きつけの画廊を2〜3ヶ所もつこと、これに限ります。

美術品は、部屋に置いて家族全員で毎日見るものですから、あまり安易に選びますと飽きがきたりものたりなくなったりするものです。新しい住居に引越しされたときには、あまりあせって手近の作品に飛びつかずに、インテリアやカーテンの設置が一段落してからゆっくりとお探しになることをお薦めします。
美術愛好家のための雑誌もいろいろ発売されていますが、わたしのお薦めは『月刊ギャラリー』(ギャラリーステーション刊/940円)という小型のアート情報誌です。月ごとに話題の展示会や美術展を先取りして紹介し、また巻末には全国の画廊や美術館の現在行われている展示会が一目でわかるタイムテーブルと、 詳細な地図もついています。

5月のうららかな休日、ショッピングはちょっとお休みして美術雑誌を片手に、銀座や青山の画廊をのぞいて一日つぶすのも、またちょっとアーティスティックな気分にひたれていいかもしれません。


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