涼 - 丸山 友紀

日本画、33.4 x 21.2 cm

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作品解説

技法

日本画

サイズ

画寸:33.4 x 21.2 cm

制作年

サイン

右下に印章

エディション

状態

良好

メモ

共シールあり

価格

160,000円(税込)

作家のご紹介

丸山 友紀

[略歴]
1975 年
東京都生まれ
1998年
早稲田大学 第二文学部美術史専修卒業
2000年
早見芸術学園専門学校造形研究所日本画塾卒業

2009年
アートフェア東京2009に出品

丸山友紀は、生物を日本画で描く。日本画における禽獣、虫、草木も含む花鳥図の変遷を紐解くと、古くは奈良時代・正倉院の≪麻布山水≫に描かれる鳥を確認することができる。
平安時代には和歌から主題で花鳥図は多く描かれ、それはやまと絵に定着する。中世においては水墨表現をとり、近世では障壁画に咲き乱れた。江戸期からの古典物語、やまと絵、漢画に対する精神性を探求する傾向は、現代でも引き継がれている。丸山は、生物が人間とは全く異なる思考形式を持つことを伝えるためにこの画題を選んでいるという。ここには人間中心主義的な発想に対して、警告が織り込まれている。その証拠に、描かれている総ての生物の眼は、絵を見る者を画面の中から見詰めているのである。
それは人間中心主義という広義な問題だけではなく、解体しえぬ自己-それは見る者か、丸山自身か-に向けられているのかも知れない。そのため、丸山の描く生物は骨格を精密に描く生物学的なデッサンではなく、存在感を強調するシルエットに焦点が置かれている。金や銀の箔は、その効果のために使用される。
丸山の作品を展覧すると、16世紀のコンラード・ゲスナーによる『動物誌』を経た1世紀のローマの博物学者、政治家プリニウスの『博物誌』まで遡る系譜を携えている。私達は、卑近な生物に対して驚愕の眼差しではなく敬意を注ぐべきだ。
それは、現代を生きる自己の姿に向ける視線と等価であるからだ。
<評論:宮田徹也>